教授からのごあいさつMessage from Professor

教授からのごあいさつ京都大学大学院腫瘍薬物治療学講座 / 京都大学病院がん薬物治療科のホームページを閲覧頂きありがとうございます。当講座は、2012年9月、診療科としては2013年4月に新設された新しい講座・診療科です。1年間に「がん」になる日本人は80万人を越え、3人に1人ががんで亡くなると言われています。がんに対する治療は、「外科治療」「抗がん薬治療」「放射線治療」「緩和治療」「内視鏡治療」と多岐にわたり、これらを上手に組み合わせた「集学的治療」が治療成績向上に重要です。また、治療に伴う副作用に対する「支持療法」も進歩し、これらのマネージメントが治療継続にとって極めて重要となっています。すなわち、いまや様々な診療科の専門医、そして看護師・薬剤師・放射線技師などのメディカルスタッフとの密な連携なしには最良のがん医療はありえません。

最良の医療と治療成績の向上京大病院では、国立大学では初めてとなる「がんセンター」を2007年に設立し、診療科・職種横断的ながん医療を実践しています。当講座・当診療科は、京大がんセンターの円滑な運用と安全かつ確実ながん薬物治療の実践を担うハブ講座として設立されました。他の治療法同様、がん薬物治療はリスクも伴うため専門的な知識とチーム医療が極めて重要です。当講座・当診療科は、京大病院がんセンターにおけるがん薬物治療がどの診療科においても安全かつ確実に実施できるよう支援しています。また、当講座・当診療科においては、消化器がん、肺がん、頭頸部がん、原発不明がん、希少がんの薬物療法と消化管内視鏡治療を積極的に実践しており、最良の医療を心がけています。

がん薬物治療科一方、大学の使命として、新しい医療開発が社会から期待されていると思います。そのため、当講座・当診療科は、基礎研究からの有望なシーズをより早く患者さんに届けるため、医療現場での橋渡し機能を担う講座としても期待されています。私たちは実際に、これまで発見の困難だった頭頸部がん・食道がんの革新的診断法の開発や食道がん化学放射線療法不応例に対する根治的な救済治療の開発に成功し、新しい医療を創生し社会に貢献しています。今後もこの取り組みを発展し1人でも多くのがん患者さんのお役に立ちたいと願っています。

京大病院キャンサーバイオバンクプロジェクトさらに、最近のゲノム医学の発達とICTの革新的な進歩により、これまでには考えられなかったような新しい医療開発が世界中で行われようとしています。当講座・当診療科では、京大がんセンターキャンサーバイオバンクを設立し運用をはじめました(専用HP参照)。私たちは、様々な患者さんの診断から治療経過に至る時系列の膨大な医療情報、そしてがんおよび個々人のゲノム情報を融合し、最善の医療を提供するアルゴリズム開発そして革新的個別化医療を目指しています。また、社会全体からみたマクロ的視野でがん医療の評価を行うことも始めており、今後のがん医療開発の新しい方向性として取り組んでいます。

 最後に、大学の重要なもうひとつの使命に人材育成があります。他の分野同様に、がん医療を担う人材育成は、実臨床、研究、教育すべての面で重要です。特に、「がん」という病は、患者さんのみならず、ご家族そして健康なひとも含む多くのひとたちを不安にさせる深刻な病気です。私たちは、がん医療を担う人材には、医療の知識や技術はもちろん、病に苦しむ患者さん、そのご家族の精神的な支えになる必要があると考えています。そのためにも、全人的な医療ができる人材の育成を心がけています。

アカデミアとして最良の医療の提供と世界をリードするがん臨床開発を目指す

以上のように、私たちはひとりひとりのがん患者さんの診療を大切にし、ご家族も含め最善の医療を提供することを最大の使命とするとともに、未来の医療を開発し、がんにならない、がんになっても治せるという時代がくることを夢見て、日々、診療と研究に努力しています。