概要
本講座は、2007年にわが国の国公立大学ではじめて設置された「京大病院がんセンター」の基幹講座として2012年9月に新設されました。本講座では、アカデミアにおけるがんセンターの機能的運用の支援を行うとともに、 1)専門的かつ先進的ながん診療の実践と教育、2)治験・臨床試験などの臨床開発の実践と教育、3)がんに関連する基礎研究、4)基礎研究を臨床に応用するTranslational Oncology、5)次世代の医療開発につなげるキャンサーバイオバンクおよびがんクリニカルシークエンス事業などを進めています。
本講座では、がんの発生メカニズムの解明から早期診断、新規治療法の開発、QOLを向上させる支持療法の開発、がんゲノム医療(クリニカルシークエンス)の臨床応用など、がんをとりまくあらゆる角度から研究を進めています。中でも食道扁平上皮がんの基礎研究では、アルコールによる発がんメカニズムを分子レベルで解明し、新たな予防法の開発を目指しています。診断領域では、呼気アルデヒド測定による食道高発癌リスク群の同定、また新しい技術を用いたがんの新規診断法開発を進めています。治療に関しては、新しいコンセプトに基づいた医師主導治験を行い、実用化をめざした様々な臨床開発を進めています。また臓器障害(例えば腎障害)を有するがん患者の薬物治療開発を他の診療科(腎臓内科、薬剤部)と連携して進めています。さらに基礎講座のシーズを臨床応用する早期医療開発や社会医学系講座・医療情報部と連携したNDB(National database)研究も行っています。大学院生や研修医はこれらの環境の中で自分自身にあった分野を選択でき、それぞれの分野で専門的な教育を受けることができます。また、文科省「多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフエッショナル)」養成プラン」における「ゲノム医療従事者の養成コース」の大学院生も積極的に受け入れています。