診療内容MEDICAL TREATMENT
内視鏡診療
内視鏡治療について
消化器がん診療において、内視鏡診療は診断から治療に至るまで非常に重要な役割を果たします。
当科の診療科長の武藤らは、狭帯域内視鏡(Narrow band imaging、NBI)の開発に携わり、これまで診断が困難であった咽喉頭・消化管の早期癌診断能の向上に貢献し、多くの内視鏡治療実績があります。
食道がん診療においては、拡大内視鏡や超音波内視鏡を用いて正確な深達度診断や範囲診断を行い、消化管外科や放射線治療科など関連診療科と連携して治療方針の決定に役立てています。
食道狭窄に対するRIC法
食道癌手術後や内視鏡的治療後の難治性狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術、そして内視鏡的食道狭窄解除術(Radial incision cutting法: RIC法)なども実施しています。RIC法では、電気メスを用いて狭窄部に切開を入れ、全周性に狭窄部の瘢痕組織を削り取ります。
食道癌化学放射線療法後局所再発に対するPDT
また、化学放射線治療後の局所遺残・再発食道がんに対する光線力学的療法 (Photodynamic Therapy: PDT)は、当科が中心となり開発し薬事承認・保険適応となった治療法です (Oncotarget 2017;8(13):22135-22144.)。これは、がんに選択的に集簇する光感受性物質 (タラポルフィン)を投与し、病巣部にPDレーザを照射して腫瘍を壊死させる方法です。この治療によって、救済手術などの有効な治療の適応がない場合でも、低侵襲で臓器を温存しつつ根治を目指すことが可能となりました。
PDTの様子(※模擬患者です)
このように、多岐にわたる内視鏡診療を実践することで、がん患者さんの生命予後とQOLの向上を目指しています。